昆布の豆知識

昆布とは

海草と海藻

海草と海藻、呼び方は同じですが違う植物なのです。海草とは、海中に生える顕花植物(種子植物)のこと。地上の種子植物同様、花を咲かせて実を結び、種子によって繁殖します。

これに対して海藻は海に生える藻類の総称です。花は咲かず、胞子によって子孫を増やします。海藻の多くは食用とされ、昆布もこの海藻に含まれます。海藻は色により藍藻類・珪藻類・緑藻類・褐藻類・紅藻類などの種類に分別され、昆布は褐藻類に属します。ただし色の違いは、海藻の生える場所の水深、つまり太陽の光が届く量に左右され、浅瀬は緑色、深い場所は褐色、もっとも光の届きにくい場所では紅色となります。昆布の属す褐藻類には、お馴染みのわかめ、ひじき、もずく、めかぶなど今注目の優等生食品の材料となる海藻がひしめきます。アオノリは緑藻類、フノリやアマノリは紅藻類に属します。

昆布の区分け

昆布には多くの種類があり、区分けの仕方も、(1)植物学によるもの、(2)産地によるもの、(3)採取時期によるもの、(4)製品の種類によるもの...と様々です。

1. 植物学的区分

海藻の褐藻類の昆布は、日本には14属45種あります。全世界では、北半球に26属、南半球に9属生育しているといわれています。寒流系の褐藻類である昆布は、日本では宮城県以北の太平洋岸と北海道全域の海に分布し、とくに北海道が主産地です。昆布の国内生産量は、そのほとんどが北海道から採取されており、全体のほぼ95%に相当します。青森、岩手、宮城県の東北3県では5%前後となっています。

2. 産地別区分

ワインが産地により銘柄をわけるように、昆布にも産地別の銘柄があります。
日本沿岸の昆布の種類をみると、寒流(北海道の太平洋側の親潮)の流れる沿岸部では、ナガコンブ、ミツイシコンブ(ヒダカコンブ)、オニコンブ(ラウスコンブ)などがあげられます。対馬暖流の北上する日本海沿岸や、オホーツク海沿岸にはホソメコンブ、リシリコンブが、暖流と寒流の交錯する噴火湾から津軽海峡の沿岸にはマコンブがみられます。

3. 採取による区分

さおまえ
棹前昆布
5月1日から通常の採取期日(7月10日~7月20日ごろ)までに採取される2年生の昆布。
    はしり
夏採「走」昆布
解禁日(7月10日~7月20日頃)から9月10日前後までに採取した昆布。
     ご
秋採「后」昆布
9月10日前後より終漁期までに採取した昆布。
拾い昆布
時化などで海岸に漂着した成昆布。
水昆布
1年生の昆布。

4. 製品による区分

長さ、重量、幅、結束法等により規格化され等級が決められます。

もとぞろえ
元揃昆布
根元を揃えて結束した昆布。羅臼昆布は約75cm、真昆布は90cmの長さに折って結束します。
ながきり
長切昆布
75cmから105cmの一定の長さに切りそろえて結束した昆布。
棒昆布
20cm~60cmの長さに切り結束した昆布。
折昆布
切らずに27cm~75cmの一定の長さに折りたたんで結束した昆布。
雑昆布
切り落とし部分、品質不良品、色の悪いものなどで規格にあわないものを俵詰めにした昆布。

5.その他の格付けと分類

育成法
天然、養殖(促成)の格付け。
浜格差
成育する場所(浜)により、品質などに微妙な差が生じます。年毎に多少の変動がありますが、浜別の価格構成を行います。
等級検査
同じ浜の昆布であっても、かたちや光沢などから1等~6等までの格付けが行われます。この検査の規格は昆布のいろいろな区分や形態により決められています。
成育深度
成育場所の深さ等により「沖」と「岸」にわかれ、一般には「岸」の方が格上です。

いろいろな昆布

1. 真昆布(マコンブ)

古くから先住民族アイヌにより採られていました。鎌倉時代、宇賀(渡島地方の地名)昆布として若狭に運ばれ名声を得ました。最も巾が広く、肉厚で高級品。白口元揃、黒口元揃、本場折は「道南三銘柄」と呼ばれ、関西(特に大阪)で好まれます。

【産地】

道南の渡島支庁白神岬から函館市、恵山を経て噴火湾にいたる地域。青森県下北半島・岩手県・宮城県の沿岸。採取される浜により、

白口元揃
恵山岬を境界とし、南茅部から砂原に至る沿岸。
黒口元揃
恵山岬から汐首に至る沿岸
本場折
汐首から函館市に至る地域

の高級3銘柄があります。成育水深は7~8m。

【特徴】

色は淡褐色、長さ1~8m、幅は12~30cm、下部で幅広いくさび形になって茎につながります。切り口の色で、白口元揃(白色)と黒口元揃(黄色)に区分します。

【加工法】

代表的な良質の昆布で高級ダシ昆布としては上品な甘味をもち、清澄なダシがとれます。また塩昆布、おぼろ・とろろ昆布、切昆布などに利用されています。

2. 三石(日高)昆布

やはり古くから先住民によって採取されていました。江戸時代の寛文年間(1661~1673)に浦河地方に漁民が入植し、漁業が始められたのと前後して、本格的に採取が始まりました。

【産地】

三石町のある日高地方を主産地とし、東の十勝沿岸から白糠に至る地域、一部道南白口浜から恵山岬を経て汐首付近まで。成育水深は10~15m。

【特徴】

濃緑に黒味を帯びています。長さ2~7m、幅6~15cm、へりに波うちがありません。

【加工法】

家庭用ダシ昆布、煮上がりが早く味も良いので煮昆布・昆布巻やダシ昆布など惣菜用に利用されます。

3. 長昆布

江戸時代の天正~慶長年間、先住民との交易がおこなわれる頃に採取が始まりました。生産量も多く一般的な加工原料として利用されています。

【産地】

釧路知人岬以東、根室納沙布岬までの太平洋沿岸。歯舞、諸島、色丹島、国後島、択捉島の太平洋側にも成育しています。成育水深は15~20m。

【特徴】

幅6~18cm、長さ15m~20m、色は黒灰色。

【加工法】

佃煮昆布、おでん昆布、煮昆布、昆布巻など加工用として利用されています。

4. 羅臼昆布

明治の中頃から収穫されています。飴色の大柄の高級品で赤口・黒口として風味豊かな濃厚ダシで人気があります。正式名は「りしり系えながおにこんぶ」といいます。

【産地】

知床半島の根室側(国後島側)沿岸のみに成育。

【特徴】

巾が広く幅20~30cm、長さは1.5~3m。 表面の色により黒口、赤口に区別します。元揃、長切仕立で出荷されます。

【加工法】

にごりがでますが、香りが良く黄色味を帯びた濃厚でこくのあるダシが特徴で、ダシ昆布として利用されます。昆布茶、酢昆布などにも利用されています。

5. 細目昆布

一番早く歴史に登場しましたが、現在はあまり採取されていません。暖流系に成育する為、大きく育ちません。粘りが強いので、とろろ昆布の原料として利用されています。一年生昆布で切り口が白く、細目で粘りが強い昆布。流失してしまうので1年目の夏に採取します。

【産地】

道南の福島町から檜山・後志を経て留萌支庁苫前、羽幌、天売・焼尻両島までの地域。

【特徴】

色は黒色。長さは0.4m~1.5m、幅は5~15cm。切り口は全昆布のうち最も白い色をしています。

【加工法】

粘りがあるため、とろろ・おぼろ昆布。塩昆布・佃煮昆布などにも利用されています。

6. 利尻昆布

明治に入ってから採取が始まりました。黒褐色で、真昆布よりやや黒く、ダシ汁が透明で風味が良く、高級料理のダシとして使われます。甘みがあり、味が濃く、香りも高い透明な澄んだダシがとれます。

【産地】

利尻・礼文両島と留萌以北、稚内の野寒布岬、宗谷岬を経てオホーツク海沿岸網走に至る地域。

【特徴】

幅が狭く、葉の基部は細いくさび形をしています。色は黒褐色、葉は固くなっています。

【加工法】

ダシ昆布として利用されており、特に京都の懐石料理には好んで使用されています。肉質の堅さと削っても変色変質しない特徴から高級おぼろ・とろろ昆布としても利用されています。

7. 厚葉昆布

がっがら昆布とも呼ばれます。長昆布と同じ地域に成育する葉の厚いもの。

【産地】

長昆布とほとんど同じ地域に成育。長昆布が波の荒い場所を好むのに対し、島や暗礁の陰、海底の凹地など波の直接こない深みに成育します。

【特徴】

長さは2m~5m。黒色で白粉を生ずるものが多く、巾広で肉厚。

【加工法】

佃煮昆布、塩吹き昆布、おぼろ昆布、ばってらなどの加工用として利用されています。

8. がごめ昆布

【産地】

函館、室蘭の沿岸。真昆布とほぼ同じ地域に成育しています。

【特徴】

表面に凹凸があり、粘りが強い。

【加工法】

とろろ・おぼろ昆布や、納豆昆布、松前漬などの原料に利用されます。

9. ねこあし昆布

【産地】

長昆布、厚葉昆布とほぼ同じ。

【特徴】

耳昆布とも呼ばれます。甘み成分が多く、ねばりが強い。

【加工法】

とろろ・おぼろ昆布に多く利用されます。

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