「昆布と暮らし」昆布の豆知識

結納のしるしに昆布を

婚約のしるしに取り交わされる結納の品には、昆布はつきものです。

これは昆布が「喜ぶ」に通じると言う説がありますが、宮中での慶事に用いられた昆布が徐々に武家から民間に広まって来たものと考えられます。『南留別志』には、祝儀の時には、コンブを「両のはしよりまきておきたる形」にして「夫婦を祝ふ」のだと説いています。今でも京阪方面では、祝儀にさいして幅の広い山出し昆布をたてに二つ折にし、これをぐるぐる巻き、紅白の紐で結び、三宝にのせて床の間に飾る習慣が残されています。これがさらにとこったものになるとコンブで鶴亀を作って供えるようにもなります。

正月飾りと昆布

武士の出陣と凱旋の膳に用いられた「打ち鮑・勝栗・昆布」はやがて慶事の飾りとなります。ノシ鮑はスルメに変わりましたが、正月には勝ち栗を歯固めに、スルメ・昆布の類を鏡餅の上に飾るようにもなりました。

昆布を宮中で慶事に用いたのは、かなり古いもので、武士はそれを真似たのではないかとみられます。『年中定例記』によれば「殿中正月ヨリ十二月まで、御対面御祝ハ以下ノコト」として「焼栗九、昆布九きれ(一寸四方)」と記してあります。

沖縄では古くから炭を昆布で巻いたものをお正月飾りに使用しています。沖縄の古い祝い歌には「新年に炭と昆布を飾って、心身ともに生まれ変わる…」といった内容のものがあります。

昆布の応用 その1

昆布の成分で特筆されるアルギン酸。このアルギン酸は様々な分野に応用されています。アルギン酸は高い粘性と種々の金属で特長あるゲルをつくる特性があります。これを利用して、食品用・工業用・医療用等幅広い用途が考えられています。

食品添加物として

アイスクリーム、シャーベット、氷菓子、チョコレートミルク、乳酸菌飲料、ジュース、ビール、酒類、ソース、醤油、ドレッシング類、パン、麺類、ゼリー、プリン、寒天食品、魚肉、畜産製品。

工業用として

スピーカーコーンに使用。
金属イオン吸着シート。*水糸で繊維からシートまで形成可能。
酵素や微生物の繊維中に固定可能。

医療用として

◎歯の鋳型剤の一成分として
◎外科用ガーゼ、手術後の縫糸、食道・胃・十二指腸等の潰瘍治療の皮膜剤
◎止血剤、搾染糊
◎錠剤成分の分散用

昆布の応用 その2

自然環境を整える。

昆布は海藻です。海藻は食品ですが海の森の大きな主役とも言えます。世界の昆布で御紹介したモントレーのジャイアントケルプを思い浮かべてください。モントレー湾の豊かな自然環境はジャイアントケルプが繁茂する「海の森」によって形成されています。微生物から、ラッコやアザラシまで、多くの生き物が遊ぶ海の森はジャイアントケルプ抜きには成り立ちません。
同様に、日本でも昆布を利用した海洋環境の保全に取り組む動きが、近年盛んに試みられています。地球温暖化や海の富栄養化が、深刻な海の環境破壊を引き起こしています。昆布の養殖で環境破壊された海にオアシスが作られているのです。

昆布の応用 その3

新年の天皇家

新年の朝、皇居の御所では祭祀を終えた陛下と皇太子さまなど皇族方が集われます。縁起物昆布、のし鮑、勝栗が、起立された皇族方の手のひらにおかれていき、「おめでとうございます」「ありがとう」などとあいさつを交わされます。

相撲の土俵に埋められる物

大相撲の土俵には、やはり昆布、のし鮑、勝栗が埋められています。場所前の祈願の折、土俵中央のしきり線の真ん中に穴が穿たれ、縁起物として埋められ、力士の熱戦と無事が祈願されるのです。

 かように昆布は日本古来の縁起物として大切にされてきました。結婚式の結納の品や正月飾りにも欠かせない昆布。食品としても、縁起物としても日本を代表する存在です。

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